三島由紀夫のおすすめ31作品まとめ!最高傑作はどれなの?

三島由紀夫氏は、戦後の文学界を代表する作家とされています。小説の他に短編など教科書にも掲載され、またエッセイなどおすすめの傑作を残し、45才で割腹自殺という壮絶な死で亡くなりました。 その三島由紀夫氏の作品の中から、おすすめの小説などの傑作をご紹介します。

三島由紀夫のおすすめ31作品まとめ!最高傑作はどれなの?のイメージ

目次

  1. 三島由紀夫のおすすめ31作品まとめ!
  2. 三島由紀夫氏の生い立ち
  3. 三島由紀夫氏の壮絶な最後!
  4. 三島由紀夫のおすすめの最高、ベストの作品は何?
  5. 1.「仮面の告白」
  6. 2.「愛の渇き」
  7. 3.「青の時代」
  8. 4.「禁色(きんじき)」/ 「秘楽(ひぎょう)」
  9. 5.「美神」 
  10. 6.「真夏の死」
  11. 7.「葵上(あおいのうえ)」
  12. 8.「潮騒」
  13. 9.「沈める滝」
  14. 10.「金閣寺」
  15. 11.「鹿鳴館」
  16. 12.「美徳のよろめき」
  17. 13.「橋づくし」
  18. 14.「鏡子の家」
  19. 15.「弱法師(よろぼし)」
  20. 16.「宴のあと(うたげのあと)」
  21. 17.「獣の戯れ(けもののたわむれ)」 
  22. 18.「美しい星」
  23. 19.「午後の曳航(ごごのえいこう)」
  24. 20.「剣」
  25. 21.「絹と明察」
  26. 22.「三熊野詣(みくまのもうで)」
  27. 23.「サド侯爵夫人」
  28. 24.「英霊の聲」
  29. 25.「太陽と鉄」
  30. 26.「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」
  31. 27.「文化防衛論」 
  32. 28.「春の雪」 
  33. 29.「奔馬」 
  34. 30.「暁の寺」 
  35. 31.「天人五衰」
  36. まとめ:三島由紀夫のおすすめ作品

三島由紀夫のおすすめ31作品まとめ!

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小説家の三島由紀夫氏をご存知ですか?

三島由紀夫氏は、昭和元年(1925年)の生まれで、昭和の年号と共に年を重ねていきました。

小説家だけではなく、短編や自伝小説、エッセイを多数残し、劇作家、評論家としても活躍した戦後の日本文学界を代表する作家とされています。
氏の作品は日本だけではなく、海外でも高い評価を得て、ノーベル文学賞候補に選ばれなど、世界で広く認められた作家です。
またアメリカの男性ライフ・文化専門誌「Esquire(エスクァイア)」の「世界の百人」に日本人として、初めて選ばれました。
そんな三島氏が残した作品の中で,最高・ベストと位置づけられるのはどの作品でしょうか?

三島由紀夫氏の生い立ち

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学習院時代の三島由紀夫氏

三島氏は幼少時代は余り体が丈夫な方ではなく、青白く痩せていたようです。学習院に入って、国語の教科書の他にも特に読書や文学に興味を持ち、詩も随分作ったようです。

16歳の時に、初めて祖先を巡る4つの挿話からなる「花ざかりの森」という短編集を書き上げ、国語の教師に批評を依頼しました。

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教師はその作品の出来の良さに驚き、友人の文芸仲間にも読ませたところ、全員が「最高の傑作!天才の出現だ!」とベストの評価をしたとのことです。
三島由紀夫氏の本名は平岡 公威(ひらおか きみたけ)と言いますが、この時の教師が文芸仲間と合宿していた、三島市とそこから見える「富士の雪」からとって、「三島由紀夫」という名前を、ペンネームしたらどうかと三島氏に進言し、決まったようです。

戦後、東京大学を卒業した三島由紀夫氏は、官吏でもあった父の奨めもあり大蔵省に事務官として入省しますが、わずか9か月で辞職し、本格的な文筆の道に入ります。

三島由紀夫氏の壮絶な最後!

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バルコニーで演説する三島由紀夫氏

三島由紀夫氏は文筆活動の傍ら政治的な活動にも傾倒し、自衛隊に体験入隊したり、民兵組織として「楯の会」を結成しました。
そして1970年(昭和45年)11月25日、「楯の会」の隊員4名と共に自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪れ東部方面総監と面談中に総監を監禁しました。
その後、バルコニーで自衛隊員を集め決起を促す演説をしましたが、ヤジと怒号でかき消され賛同を得られず、バルコニーから総監室に戻り、そこで割腹自殺を遂げました。
この事件は、当時世間に大きな衝撃を与え、国内の政治運動や文学界に大きな影響を及ぼしました。

こうして、三島由紀夫氏は割腹自殺という壮絶な死で、その人生を閉じました。
享年、45歳でした。

三島由紀夫のおすすめの最高、ベストの作品は何?

三島由紀夫氏はその生涯に、傑作と言われる小説や自伝、エッセイ集など、また教科書にも取り上げられた短編など多数の作品を残しましたが、その中のベストと言われる作品は何か?
三島由紀夫氏のおすすめ最高傑作の作品などを、紹介していきます。

1.「仮面の告白」

三島由紀夫のおすすめ作品:「仮面の告白」1949年 河出書房

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「仮面の告白」初版単行本

この「仮面の告白」は、三島由紀夫の第一作書きおろし自伝的な長編小説として、1949年7月に河出書房より出版され、同年の読売新聞の「1949年読売ベスト・スリー」に選ばれました。

三島由紀夫の作家としての第一作となった「仮面の告白」は、作家自身の自伝でもあり、その後の氏の作家としての活躍と、その活動の全てを見透し包括している、戦後の日本文学の代表作と言われています。

またこの「仮面の告白」は、それまで氏の作品にたいして『才能はあっても真実の声がない』と言っていた批評家に『これは本物だ!』と認めさせた最高・ベストの傑作と評価されました。

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「仮面の告白」文庫本

またこの「仮面の告白は」、性的異常者としての覚醒と、男女間の正常な愛への試みへの挫折が、苦痛と悲哀に満ちた理知的かつ詩的な文体で描かれています。
当時「仮面の告白」の中で同性愛というテーマを赤裸々に綴ったことは大きな話題を呼び、この「仮面の告白」により三島は一躍、24歳で著名作家となっていきました。
「仮面の告白」は初めは、単行本として出版されましたが、後のその人気を受けて文庫本の「仮面の告白」の出版されました。

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「仮面の告白」の原稿、記号づけ

【仮面の告白・あらすじ】
時代は1925年から、太平洋戦争の敗戦をはさんで1948年までの間で、主人公の生い立ち、祖母を中心として育てられた経緯などが自伝的に語られます。
家族との関わりや、粗野な学友に対するに同性愛的思慕など。そして友人の妹との恋愛と結婚への逡巡などの出来事が、主人公の思春期から青年期を経て、戦後期の時代背景の中に描かれています。

左は「仮面の告白」の原稿ですが、随所に推敲の跡が見受けられ、こうした努力の後に「仮面の告白」は世に出て行ったのが分かります。

2.「愛の渇き」

三島由紀夫のおすすめ作品:「愛の渇き」1950年 新潮社初版

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【あらすじ】
女性問題で彼女を悩ませつづけた夫が急逝すると悦子は、義父の別荘兼農園に身を寄せ、間もなく彼と肉体関係を持つようになります。
一方で、この家にいる若い園丁の三郎を心の中で惹かれながら、体は義父に任せ続けています。
三郎は女中の美代と良い仲となっており、悦子は深い嫉妬に陥ります。その内、女中の美代が妊娠したのを期に、悦子は美代に暇を出します。
そのことを三郎に詫びると、三郎は美代を愛してはいなかったと言います。
悦子は内心喜びますが、三郎が体を求めてくるとこれを拒み、弥吉の前で三郎を殺してしまうのでした……。

女性心の不可解な面を描いた傑作です。

3.「青の時代」

三島由紀夫のおすすめ作品:「青の時代」1950年 新潮社初版

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【あらすじ】
一高、東大と進んだ秀才の川崎誠は、インチキな利殖に手を出し、お嬢さん育ちの耀子と結婚するための資金の元金を失ってしまいます。
その後、友人の入れ知恵によって自分で闇金融を興し、あこぎな商売によって、会社は急成長し、うまく行くかに思われましたが……。

戦後世間を賑わした実際にあった金融会社「光クラブ」の社長の自殺に至る波瀾に満ちた短い生涯を題材にして、孤独な青春を描いた、作者独自のシニシズム(冷笑主義)に溢れる長編小説の傑作です。

4.「禁色(きんじき)」/ 「秘楽(ひぎょう)」

三島由紀夫のおすすめ作品:禁色(きんじき)/ 秘楽(ひぎょう)

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禁色/秘楽 1951年/1953年 新潮社

【あらすじ】
主人公である老作家の檜俊輔は、知人の美青年・南悠一から、自分が同性愛者であることを告白されます。
俊輔は、これまで自分が騙されてきた女たちに復讐するために、悠一と手を結びます。
悠一が女性を誘った後に、俊輔がひどい目にあわせるという手筈です。その内悠一は、俊輔の勧めもあって結婚しますが、妻に内緒で男色社会に入り浸ります。
しかし悠一は自分の結婚生活に危機感を感じ、俊輔から距離を置くようにして、なんとか同性愛がばれそうな危機から脱します。
既に悠一を愛し始めていた俊輔は絶望し、遺産を残して自殺しますが……

同性愛という当時としては斬新テーマを描いた、評価もベストに近い作品です。

5.「美神」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「美神」 1952年 文芸 短編集

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「美神」は学校の教科書にも載った短編!

【あらすじ】
R博士は古代彫刻の権威で、ほとんで死を待つ状況でベッドに伏せています。
死ぬ前に自分の発掘した女神像をもう一度見たいと担当のN医師に頼み、その女神像がベッド傍へ運ばれます。

さらにR博士は医師に自分の論文を読ませ、女神像の高さを記述した箇所で制止し、次々と他の論文の女神像の高さの箇所だけ読ませます。
実は、博士は自分と女神像の間だけの秘密を作り出そうとして、実際の女神像の高さ2.14mを、2.17mと偽って学会へ報告したのです。
そしてその秘密を死に際に確かめようと、医師に女神像を測らせます。すると何回測っても高さは2.17mとなっていました。

R博士は怨みを含んだ目で、女神像を睨み「裏切りおったな!」と一言呪うような声で叫んで、そのまま息を引き取りました。
R博士の臨終を聞いて遺族が部屋に入ると、その死顔が余りに恐ろしかったので、皆叫び声を上げました……

この「美神」多くの学校の教科書に掲載されたエッセイ的な短編です。教科書に載ったことにより多くの学生に読まれ、三島の文章や作品に興味を持った学生も多数いたでしょう。そして次に三島由紀夫の短編や小説、エッセイ、自伝などをもっと読んでみたいという学生も増えて、教科書から文学界に関する良い影響が生まれたことになりました。

6.「真夏の死」

三島由紀夫のおすすめ作品:「真夏の死」1953年 創元社短編集

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三島氏の傑作短編集

三島由紀夫自選によるエッセイ的な短編集です。伊豆の今井浜で実際に起った水死事故を題材にして、苛酷な運命とそれを乗り越えた後に訪れる虚無感の本質や意味を物語にしています。

【あらすじ】
朝子は、義妹とその3人の子どもと伊豆の浜に遊びに来ていました。やがて、2人の子供と義妹が、波に呑まれて死んでしまうという不幸な事故が起こります。
その後、夏が終わり秋になると、この悪夢のような思い出も朝子の中で薄らいでいきました。
やがて朝子は女児を出産します。あの水死事故から2年後、朝子の強い願望で、家族で伊豆の海岸に訪れます。
海岸に着いて、放心して何かを待つように海を見つめる朝子の様子に、夫は「何かを待っているのか?」と聞こうとして強い恐怖感に襲われます。
それが何か分かった時に、夫は息子の手を強く握ったのでした……

三島氏の最高・ベストと評価の高いエッセイの要素も盛り込まれた傑作短編と言われています。

7.「葵上(あおいのうえ)」

三島由紀夫のおすすめ作品:葵上(あおいのうえ)<近代能楽集> 1954年 新潮社

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「源氏物語」を題材とした能の「葵上」の高貴な女性の嫉妬を描く物語を、三島由紀夫が現代劇に翻案した教科書的な作品となっています。
三島由紀夫氏はこのエッセイ的な作品に関して、「哲学的な意味の主題は稀薄で、テーマとしては康子の激しい嫉妬の情念に集中している」と語っています。

【あらすじ】
舞台となっているのは若林光の妻である葵の病室です。ベッドで昏睡中の葵は、光に惹かれている六条康子の激しい嫉妬の情念によって、最後には呪い殺されるという筋書きです。
現実の康子の電話の声と、病室の外で聞こえる、生霊となっている康子の声とが交じり合い、若林光が康子によって霊の世界に連れ去られる幕切れは、ミステリー風の最高の仕上がとなっています。

8.「潮騒」

三島由紀夫のおすすめ作品:「潮騒」1954年 新潮社 

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【あらすじ】
伊勢湾に浮かぶ歌島は、潮騒と磯の香りと明るい太陽の下で、都会の文明から隔絶した島です。
ここの若い漁師の新治は、島の裕福な家の娘初江に心惹かれています。2人は海堤で抱き合い、愛を誓い合います。
この2人を巡り、東京の大学に通う娘の横恋慕や、島の有力者の息子からの横やり、躾にし厳しい初江の父からの締め付けなどが交錯し、2人の仲は裂かれます。
そんな状況の中、ある日新治の英雄的な活躍が初江の父の心を動かし、2人の結婚が許されます。

この作品は、何回か映画化もされ小説を映画の脚本として書かれた教科書的な存在でもあり、当時の人気もベストとなった作品です。

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映画「潮騒」主演:山口百恵

「潮騒」は、山口百恵主演で映画化もされ、ベストに近い評価を受けました。
この映画以外にも、多くの配役で映画化され「潮騒」というネーミングも良く、人気も最高の作品でした。

9.「沈める滝」

三島由紀夫のおすすめ作品:「沈める滝」 中央公論社 1955年

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【あらすじ】
電力界の大御所の孫で天性の美貌と豊かな財力にめぐまれた貴公子の城所昇は、愛を信じない青年でした。
彼は子供のころ、鉄や石ばかりをおもちゃにして育ち、まるっきり情操が欠けている人間でした。
女性との交流も即物的関心からで、愛などによるものではなかった。そんな中、人妻の顕子に惹かれたのも、この女が石のように不感症だったからでした。
そして、愛の無い2人で愛を合成しようと契いあい、そのために昇は、ダム建設現場で半年間越冬します。
春が来て再会した顕子は、昇の愛撫に応えるようになっていました。
しかし昇が、感動しない不感症の自分を好きだったという事実を知った顕子は、自殺してしまいます……

三島氏が不毛の愛を描いたエッセイ的な要素も持つ作品です。

10.「金閣寺」

三島由紀夫のおすすめ作品:「金閣寺」 新潮社 1956年

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貧しい寺に育った徒弟が、金閣寺に放火するまでを描いた実際に起こった放火事件を題材として、作者の人生を投影した美と人生の相克を描いた小説の教科書的な筋書きを持つ傑作と言われています。

【あらすじ】
父から金閣の美しさを教えられた主人公は、金閣寺の修行僧となり、大学に進みます。
金閣寺の美さは、主人公に色々な表情を見せ、空襲の危機のもとでは、さらに美しく見えました。
しかし戦後の金閣寺は超越的存在となって、主人公と付き合っていた女性との仲を引き裂く原因ともなります。ついに主人公は、金閣寺に放火して、消滅させ自分は「生きよう」と思いますが……

作者の生の力が、美の呪縛力を滅ぼしたと見ることができます。
「金閣寺」というタイトルも広く知られるようになり、氏の最高・ベストの傑作の一つとして数えられています。。

11.「鹿鳴館」

三島由紀夫のおすすめ作品:「鹿鳴館」 東京創元社 1957年

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明治時代の欧化政策が強く推進されていた頃の、鹿鳴館における天長節の1日を描いた四幕物の悲劇を表わした戯曲です。

明治19年の天長節に鹿鳴館で催された大夜会を舞台にして、政治や恋、陰謀と愛憎の渦の中で翻弄される男女や親子の悲劇を迫力ある筋書きで描いた物語です。
子供の頃から鹿鳴館時代に憧れを持っていたと自伝の中で語っていた三島由紀夫氏による、当時の史実や時代考証などにこだわらない教科書的ではない大胆な構成に、劇作家としての才能が光っていると好評な舞台でした。

12.「美徳のよろめき」

三島由紀夫のおすすめ作品:「美徳のよろめき」 講談社 1957年

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「美徳のよろめき」 講談社 1957年

【あらすじ】
主人公の節子は、上流階級の厳しい家庭に育った子女で、結婚した後男の子を出産します。夫は仕事に忙しく、結婚前に知り合った土屋との1度だけの接吻を、節子は時々思い出しています。そして、その土屋と偶然に出会った後に逢瀬を重ねるようになります。
不倫という罪の意識に苛まれながらホテルで愛を交わすようになり、そうした中節子は妊娠してしまいます。
その後中絶した節子は、清廉な父を思い、土屋との交際を絶ちます。

当時「よろめき」ということばが流行語にもなった、きわどく、あぶない恋愛を、優雅で洗練された手法で塗り替えた作者のペンのタッチが光る最高・ベストと言われる作品の一つです。

13.「橋づくし」

三島由紀夫のおすすめ作品:「橋づくし」 文芸春秋新社 1958年

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東京・築地の川に架かっている七つの橋を、願かけをして渡ると、願いが叶うといわれています。
今これらの橋を渡ろうとしている四人の女がいます。
芸者のかな子は、金持ちの旦那。年配の芸者小弓はお金。料亭の娘満佐子は結婚を願っている。
無口で頑丈な女中みなが、付添として一緒に付いています。
遊びで始めた「願掛け」にすぎなかったたが、そのうち皆が真剣になって来ます。
突然の腹痛に襲われたり、知人と出会ったり、警官に職務質問されたりして、結局無事に渡りきったのは1人だけでした。

短編の名手三島の、腕の冴えた短編の教科書的な傑作です。

14.「鏡子の家」

三島由紀夫のおすすめ作品:「鏡子の家」 新潮社 1959年

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【あらすじ】
裕福な家に育って結婚した鏡子が、旦那を追い出して気ままに暮らしている家に、四人の青年が出入りします。
副社長の娘と結婚した商社マンの清一郎。全日本チャンピオンとなったボクサーの峻吉。ボディ・ビルで筋肉をつけている俳優の収。展覧会で入賞した画家の夏雄。
だがその後、彼らは挫折し、それぞれスランプに陥り、俳優の収は心中します。
無秩序な戦後の焼け跡の時代が終わったと悟った鏡子は「鏡子の家」を閉じて、夫と復縁します。

「もはや戦後ではない」と言われた昭和の「時代」を描いた、ニヒリズムを主題のエッセイ的な筋書きだと自伝の中で語っています。

15.「弱法師(よろぼし)」

三島由紀夫のおすすめ作品:弱法師(よろぼし)<近代能楽集> 丸善 1960年

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能楽の演目の一つである、家を追われて盲目の法師となった少年を描く「弱法師」に題材を求めて、三島由紀夫が描く現代劇です。

【あらすじ】
主人公の俊徳は5歳の時、空襲の戦火の中で両親とはぐれ、火で目が傷つき失明し浮浪児となっている所を川島夫妻に拾われ、育てられて20歳になっていた。
そしてもう一組の夫妻が現れて、俊徳を巡って裁判沙汰となります。
裁判長期化に向かい、俊徳は弁護士に向かって昔の話をし始めますが……

俊徳が最後に見た空襲の終末の幻影がどういう意味を持つのか? このような問いを暗示して舞台は幕を閉じます。

文学と終末感との関わりを暗示する三島由紀夫の秀作と言われています。

16.「宴のあと(うたげのあと)」

三島由紀夫のおすすめ作品:「宴のあと(うたげのあと)」 新潮社 1960年

出典: https://www.amazon.co.jp

【あらすじ】
高級料亭を営む女将の「福沢かづ」と、元外相の野口が結婚します。その後、野口は都知事選に革新政党から立候補することになります。
妻のかづは金をつぎ込んで夫を支援しようとしますが、理想主義者を掲げる野口は、それを嫌い拒否します。
選挙の結果は野口が敗れます。その後かづは政治家などの援助を得て料亭を再開しますが、2人は協議離婚をします。
育ち悪いかづの、周りを気にしない行動が非常に政治的で、裏の無い正統な政治を目指す野口が、理想主義の教科書的な観念でしかなかったという、政治の世界を描いた皮肉なテーマが描かれています。

この作品は、実際の政治家をモデルにしたとして、その政治家からプライバシー侵害で、三島由紀夫と出版社が訴えられる裁判に発展し、その経緯は自伝でも触れられ、最終的に「和解」成立となったとのことです。

17.「獣の戯れ(けもののたわむれ)」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「獣の戯れ(けもののたわむれ)」 新潮社 1961年

出典: http://www.book-komiyama.co.jp

【あらすじ】
大学生の幸二は、アルバイト先の陶器店主の妻、優子を愛していました。
この夫婦は、お互いに愛を求めていながら、どちらも浮気をしています。幸二は、2人を元のような愛し合う夫婦にしようとするが、上手くいかず、逆に夫に大怪我を負わせてしまう。

有罪となった幸二は、刑期を終えて、陶器店を閉じて西伊豆で園芸店営む優子に引き取られる。そこには幸二が負わせた怪我で半身麻痺とで失語症となった夫もいました。
その後、幸二と優子は三角関係の愛に苦しみ、夫の「死にたい」という願望を叶えて、夫を殺します。

三角関係の不毛な愛とそれを打開する死が描かれ、悲劇が幸福を生む不可思議な物語です。

18.「美しい星」

三島由紀夫のおすすめ作品:「美しい星」 新潮社 1962年

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【あらすじ】
ある家族が自分たちが宇宙人であると気づいた所から物語は始まります。
そして当主の大杉は、平和運動を開始します。
その活動の最中、「地球を滅亡させるべきだ」と主張する大学助教授に変身した宇宙人がやって来て、地球の未来の運命をめぐって大激論が交わされます。
大杉家の娘暁子は、金星人の青年に恋するようになり、子どもを身ごもります。後でこの青年は金星人ではない事がバレますが、暁子は事実を認めようとせず、金星人の処女懐胎だと言い張ります。
こうして、全ての事が疑問に思えた時、その一家の前に円盤が着陸しますが……

核兵器を持つようになった人類の終末を予測する終末論を主題とした、三島由紀夫のめずらしいSF短編です。

19.「午後の曳航(ごごのえいこう)」

三島由紀夫のおすすめ作品:「午後の曳航(ごごのえいこう)」講談社 1963年

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【あらすじ】
黒田房子と息子の昇は、横浜に着いた船を見学に行きます。
そこで逞しい二等航海士の塚崎龍二と知り合う。昇は塚崎を英雄のように思いその肉体と精神に憧れ、そして房子と塚崎は惹かれ合います。
その後再び船が横浜に戻って来た時、塚崎は房子に結婚を申し込む。
それを知った昇は、海の英雄に裏切られた気持ちとなり、友達と塚崎を殺す計画を立て、塚崎が父親になったという理由だけ殺してしまいます……

少年たちの一途な冷めた残虐性が注目される作品です。
海外でも翻訳されて、イギリスを舞台に映画化もされました。

出典: http://www.kritzerland.com

イギリスで映画化された時のポスター

20.「剣」

三島由紀夫のおすすめ作品:「剣」 講談社 1963年

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三島由紀夫 短編集

【あらすじ】
国分次郎は大学の剣道部の主将で、腕も立つ正義感にあふれる青年でした。1年生であった壬生は国分を慕っています。
剣道部の厳しい夏の合宿が始まった。国分の厳しいが合宿の練習に不満であった部員の賀川が、主将の留守に、行くことが禁じられている海へ行こうと部員たちを誘います。
壬生は1人誘いを断って残りますが、後で他の部員と同じよに、規律違反をしたとして、自分も海へ行ったと主将に話します。
そして合宿最後の納会で、姿を消した主将の国分は、合宿所の裏山で自殺していたのでした。

若者の衝撃的な死と正義、責任など若者の行き方の断面を描いた教科書的な短編集です。
そして剣道への思いを託した自伝的要素も入った作品です。

21.「絹と明察」

三島由紀夫のおすすめ作品:「絹と明察」 講談社 1964年

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【あらすじ】
近江にある駒沢紡績の社長駒沢善次郎は、家族主義的経営によって、創業時には零細であった会社を一躍大企業に成長させました。
しかし彼が海外出張中に、当時の政財界の黒幕として暗躍していた岡野の煽動によってストライキが決行されます。
その後、三カ月間の争議の結果、会社は組合側に屈することになりました。
そして駒沢は心労で倒れ、すべての人を許すと言って亡くなります。

岡野の西欧的な知性の「明察」が、駒沢の古い泥臭い日本的心情「絹」を打ち負かします。
しかし、敗北して亡くなった後の駒沢の力を、岡野はじわじわ実感していくという物語です。

実際に起こった近江絹糸の労働争議に題材をとり、封建的で独善的な会社社長の日本的心情と、西欧的な知性の闘いを描いた重いテーマの長編小説です。

22.「三熊野詣(みくまのもうで)」

三島由紀夫のおすすめ作品:「三熊野詣(みくまのもうで)」新潮社 1965年

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【あらすじ】
寡婦の常子は、独身の歌人でもある大学の藤宮教授の世話をしています。45歳の常子は教授を尊敬しています。
ある時、熊野に旅行に行き、教授は熊野の三社にそれぞれ「香」、「代」、「子」という文字が彫られた3つの櫛を埋めます。
常子は、教授が自らの伝説を作ろうとしていると気づき、これらの伝説の行為の証人として自分を選んだと確信するのでした……

この作品は、歌人でもあり国文学の教授でもあった「折り口信夫」をモデルにしたと言われるエッセイ的な要素を含む作品であると、作者は自伝の中で触れています。

23.「サド侯爵夫人」

三島由紀夫のおすすめ作品: 「サド侯爵夫人」 河出書房新社 1965年

出典: http://www.book-komiyama.co.jp

フランス革命前後のパリ、無垢と怪物性、残酷と優しさの多面の顔を持つ夫・サド侯爵は獄中に繋がれています。
そして彼の出獄を20年間待ち続けている貞淑な妻ルネの愛の信念を描きます。
さらに、悪徳の権化とされたサド侯爵の人物像を、6人の女の対立的な隠喩、暗喩、レトリックを散りばめた長セリフの会話劇により浮かび上がらせながら、ルネ夫人の最後の不可解な決意の謎を探った作品です。

これまでに何度も舞台で上演された全3幕から成る、三島戯曲を代表する最高傑作とも言われています。

24.「英霊の聲」

三島由紀夫のおすすめ作品: 「英霊の聲」 河出書房新社 1966年

出典: https://7net.omni7.jp

この作品は、天皇の問題や二・二六事件の問題、特攻隊の問題、経済高度成長の問題、日本自体が抱えている問題等々が様々な教科書的なエッセイのような切り口で描かれています。

ここでは霊媒が登場し、特攻隊で死んだ霊が降りてきて、特に天皇に関して「陛下は戦後に人間宣言をし、われらは裏切られた」と霊媒を介して呪訴します。
神であるはずの天皇に捧げた忠誠が、裏切られたとする、戦後天皇制度に対する鋭い批判が盛り込まれているエッセイ的な作品です。

25.「太陽と鉄」

三島由紀夫のおすすめ作品: 「太陽と鉄」 講談社 1968年

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幼少期に体が弱かった三島氏は、日光浴とボディ・ビル(太陽と鉄)によって丈夫な体と筋肉を得ることになり、氏の自伝的な要素が入っています。
それまで文筆業という言葉の世界にいた作家は、「言葉と肉体」の両方の統合、つまり文武両道を目指したことになります。

あくまで冷徹な自己分析の中で、客観的、論理的世界へ浮遊して、最後には自らの死を見つめる三島氏の自伝としての精髄を明かしています。
この時、三島氏は自分の早逝を悟っていたのでしょうか?

26.「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」

三島由紀夫のおすすめ作品:「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」 中央公論社 1969年

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滝沢馬琴の「椿説弓張月」を題材として、三島由紀夫が作った教科書ともなるべき脚本で綴った傑作の歌舞伎で、国立劇場開場三周年記念として上演されました。

【あらすじ】
保元の乱に敗れ伊豆大島に流された源為朝が、その後の波乱万丈の人生を送ることになる讃岐や肥後、琉球などに舞台を移して大胆に描く物語です。
特に、薩南海上の場での、浄瑠璃出語りにのってテンポのよい出だしや、船が難破するシーンは見ていて迫力満点の演出として、当時演劇界で最高・ベストの評価を得ました。

作者は、源為朝に華々しい人生から見離された「未完の英雄」というイメージを持たせました。

27.「文化防衛論」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「文化防衛論」 新潮社 1969年

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日本では、戦後の混乱期を経て高度経済成長の時代を迎え、さらに戦後の文化が爛熟して学生運動が最高潮に達した1969年代に出版された自伝的な要素も含む教科書的なエッセイです。
三島は日本における政治概念の根本として、天皇の復活を意図したのではなかったが、各界の批判や議論の対象となることの多い三島由紀夫自身の論理と行動のエッセイ書です。

28.「春の雪」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「春の雪」 新潮社 1969年

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三島由紀夫の遺作となる「豊饒の海」シリーズ第1巻。

【あらすじ】
時代は大正初期、維新の功臣を祖父にもつ侯爵家の若き嫡子松枝清顕と、伯爵家の美貌の令嬢綾倉聡子はお互いに惹かれ合っています。しかし綾倉家の都合で、典王殿下との婚約が決まった綾倉聡子は、恋人の松枝清顕清顕の子を宿してしまいます。
そして堕胎した後に、奈良にある月修寺に出家します。清顕は聡子に会うことが出来ぬまま、滝の下での2人の再会を友人の本多に約して自殺します。

大正初期の貴族社会を舞台にして、破滅へと運命づけられた悲劇的な若者2人の愛を、優美で絢爛たるタッチ描かれた作品です。

三島由紀夫の遺作となる、現世のしがらみを越えて混沌の中に飛翔して展開する夢と転生の壮麗な四部作の中でもベストと言われる最高の傑作「豊饒の海」の第一巻です。

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映画にもなった「春の雪」

「春の雪」は松枝清顕に妻夫木聡、綾倉伯爵家の令嬢の聡子に竹内結子の配役で、映画化もされ当時ベストに近い評価を受けました。

29.「奔馬」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「奔馬」 新潮社 1969年

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昭和初期の国家主義運動を中心として描かれている「豊饒の海」シリーズの第2巻。

【あらすじ】
第1巻の「春の雪」で、清顕が死んでから18年が経ち、彼の親友であった本多は、判事になっています。
彼はある時、剣道の試合を見に行きますが、そこで飯沼勲という若者に会います。そして勲こそが清顕の生まれ変わりであると確信します。
勲は「神風連」の思想に傾倒し、時の財界首脳の暗殺などを企てるが、事前に発覚し検挙され、釈放後、1人で財界の黒幕といわれた、蔵原武介を刺殺し、自らも切腹して果てます。

この2巻は作者が自からの死を暗示させるような、いわば未来の自伝のような作品です。

30.「暁の寺」 

三島由紀夫のおすすめ作品:「暁の寺」 新潮社 1970年

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タイのエキゾチックで優美な色彩が背景となっている心理的な小説で「豊饒の海」シリーズの第3巻。

各巻で20歳で夭折する主人公は、第一巻の貴公子松枝清顕から、第二巻では愛国少年の飯沼勲に、さらにこの巻ではタイの幼い王女月光姫へと生れ替わっています。
本多は異国の地タイを訪れ、自ら勲の生まれ変わりだと語るタイの幼い王女月光姫に会います。だが、戦後、日本を訪れたとする月光姫は、その時の記憶を何故か失っていました……

31.「天人五衰」

三島由紀夫のおすすめ作品: 「天人五衰」 新潮社  1971年

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この「天人五衰」の最終回の原稿は、三島氏が亡くなった当日の朝、編集者に渡されました。

【あらすじ】
すでに老齢に達した本多は悠々自適の生活を送っていたある日、清水港で清顕や勲の生まれ代わりと確信した安永透という少年に出会い養子に迎えますが、透は自殺未遂を犯し、盲目となってしまいます。

その後、本多は60年ぶりに月修寺を訪れ聡子に会います。
そして聡子と昔のことや松枝清顕ことを話すと、聡子は清顕という人のことは知らないと言います。
さらに、本多が話す清顕のことなど、すべてのことは本多の妄想、夢物語ではないかと本多に告げます。
そこで、本多は今まで自分が見てきたことや、経験してきたことはすべて、自分の妄想だったとして愕然とします……
そしてその後、聡子に月修寺の静寂の夏の庭を案内されるところで物語は終わります。

三島由紀夫氏は、「輪廻転生」を信じていたと言われています。
従って、作家としての自身の文学や思想も、「輪廻転生」のもとに、未来に生き返ることを次世代に託したのではないかとされています。


まとめ:三島由紀夫のおすすめ作品

出典: http://dogma.at.webry.info

いかがでしたでしょうか?

三島由紀夫氏は、小説、短編、エッセイ、脚本、自伝、評論など多くのジャンルの作品を残していますね。
そのどれもが甲乙付けがたい、最高・ベストの評価に値する作品ばかりです。
さらに、壮絶な死により、45歳で早逝したという余りにも短い人生がこれらの作品を凝縮した形で完成させたのでしょうか?
今後、さらに三島氏の作品のファンが増えて、氏の業績が評価されることを期待しています。

三島事件の全貌~三島由紀夫が割腹自殺した理由と楯の会~ | xtreeem[エクストリーム]

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