芽殖孤虫とは?致死率100%の寄生虫の感染経路や症状まとめ【画像】

芽殖孤虫という名前を聞いたことはあるでしょうか。感染した場合の致死率が100%という、恐ろしい寄生虫です。芽殖孤虫について、感染した場合の症状などを画像付きでまとめました。 ※芽殖孤虫をはじめ寄生虫などの画像がありますので閲覧の際はご注意ください。

芽殖孤虫とは?致死率100%の寄生虫の感染経路や症状まとめ【画像】のイメージ

目次

  1. 芽殖孤虫とは?実在するの?
  2. 芽殖孤虫症に感染したときの症状(画像あり)
  3. 芽殖孤虫病の治療法とは?
  4. 芽殖孤虫の感染経路
  5. 芽殖孤虫病が日本に多い原因は?
  6. 芽殖孤虫の生物学上の分類(寄生虫等の画像多数あり)
  7. 芽殖孤虫の研究
  8. 芽殖孤虫症からの生存例?(画像・動画あり)
  9. まとめ

芽殖孤虫とは?実在するの?

芽殖孤虫は1904年に日本で発見された寄生虫の一種です。
インターネット上では怖い話として語られることも多く、口裂け女のような都市伝説の類かと思われるかもしれませんが、フォーラーネグレリア(人食いアメーバ)やレウコクロリディウムと同じく実在する生物です。
東京都の目黒寄生虫館で標本を見ることができます。

出典: http://www.lotomakok.ru

目黒寄生虫館の芽殖孤虫

また、1988年に日本では約20年確認されていなかった芽殖孤虫による死者が出た際には、読売新聞や朝日新聞でも取り上げられるニュースになったようです。

芽殖孤虫の外見

大きさは数ミリ~十数ミリで、肉眼でも見られる大きさです。
人間の体に寄生する幼虫は不定形でシワが多く、ワサビの根のような外見をしているものが多いということです。

出典: http://cms.top-page.jp

参考画像:ワサビの根

上の標本の画像と似ているでしょうか。

芽殖孤虫、成虫は未だに不明

芽殖孤虫の「孤」は孤児の「孤」と同じで、親がわからないという意味です。
人間に寄生した状態で発見された芽殖孤虫はすべて幼虫で、成虫になったものがいないため、発見されてから100年以上が経っているにもかかわらず、成虫が特定されていません。
幼虫が移行症を起こすことから人間は中間宿主ではないことになります。
また、成虫にならないということから、芽殖孤虫にとっては人間は終宿主ではないということも言えます。

出典: http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp

中間宿主・終宿主とは

中間宿主は、寄生虫が幼虫の時期に寄生する相手のことです。
それに対して、終宿主は寄生虫が成虫となり、生殖を行う時期に寄生する相手のことを表します。

出典: https://smallcollation.blogspot.jp

芽殖孤虫症に感染したときの症状(画像あり)

芽殖孤虫症(芽殖孤虫病)に感染すると、幼虫移行症が引き起こされます。

出典: http://baike.sogou.com

幼虫移行症とは(画像・動画あり)

幼虫移行症は、寄生虫の幼虫が本来の宿主ではない生物の体内に入り込んだときに起きる症状です。
本来の宿主でない生物の体の中で、寄生虫が重要な器官に入り込んだり、傷つけたりすることが原因で発生します。
サバを食べたときに起きることがあるアニサキス症は幼虫移行症の一種です。

出典: http://www.kobe-med.or.jp

アニサキス

画像の下の方にある白いひも状のものがアニサキスです。
アニサキスが胃や腸に噛み付くことが原因となって、アニサキス症と呼ばれる幼虫移行症が発生します。

なお、幼虫移行症は本来の宿主でない生物に寄生したときに起きる症状です。
上に挙げたアニサキスの場合、本来の宿主であるイルカやクジラに対してはほとんど悪さをしないようです。

出典: http://blog.goo.ne.jp

アニサキスに寄生されたイルカの胃

細長いものがすべてアニサキスです。

芽殖孤虫症の症例画像

芽殖孤虫は、人間の体内で無性生殖によって分裂し、増殖します。
増殖した幼虫が体中を動き回って幼虫移行症を起こし、患者の脳や臓器が破壊されます。
結果として嘔吐や体温の異常のほか、芽殖孤虫が脳に腫瘤を形成すれば脳障害や言語障害、内臓であれば臓器からの出血、肺であれば肺炎や呼吸困難といった症状が現れます。
これらの症状が数年から数十年かけて起こり、最終的には死に至ります。

出典: http://seesaawiki.jp

芽殖孤虫症に感染した女性

1922年に芽殖孤虫症を発症した女性の写真です。

出典: http://kisekai.com

芽殖孤虫症の感染者の皮膚

皮膚の裏側の画像です。
芽殖孤虫の移動によってぼろぼろになってしまっています。

出典: http://saganature.jp

こちらも皮膚の画像です。
黒い丸が芽殖孤虫が作り出した腫瘤で、中に芽殖孤虫が入っています。

出典: http://saganature.jp

摘出された芽殖孤虫

寄生虫の分裂

分裂という増え方が非常に恐ろしいですが、寄生虫の増え方としては珍しいものではないようです。
広節裂頭条虫(サナダムシの一種)なども、人間に寄生すると腸の中で分裂して増えるということです。

出典: http://backside01.blog83.fc2.com

サナダムシの増え方

また、エキノコックス症の原因となるエキノコックスも、人間やネズミの肝臓に寄生すると無性生殖を行い、体内で増殖します。

出典: https://kotobank.jp

芽殖孤虫病の治療法とは?

治療法はありません。
理論上は外科手術によって芽殖孤虫をすべて取り除くことができれば完治しますが、芽殖孤虫は分裂して増殖するスピードが速く、内臓や、骨にさえ入り込んでしまうので、すべて取り除くということが事実上不可能なためです。
また、駆除ができるような薬品も見つかっていません。
これが致死率100%の原因となっています。

出典: http://news.livedoor.com

芽殖孤虫の感染経路

芽殖孤虫は宿主が不明なため、感染経路もわかっていません。
しかし、これまでの芽殖孤虫病の感染者にヘビやカエルを食べたことのある方が多く、加熱が不十分だったヘビやカエルの肉から感染している可能性が高いと言えます。

出典: http://japaorca.web.fc2.com

ヘビ(マムシ)の寄生虫

出典: http://natgeo.nikkeibp.co.jp

寄生虫によって後足が異常発達したカエル

また、芽殖孤虫と似た種類の寄生虫であるマンソン裂頭条虫がケンミジンコ(ミジンコの1種)→ヘビ・カエル→イヌ・ネコなどの順に宿主を代える生態をしていることから、芽殖孤虫もミジンコを宿主としている可能性があります。
そのため、芽殖孤虫に寄生されたミジンコを井戸水などを経由して摂取してしまい、それが原因で感染に至るということも考えられます。

出典: http://aivetfuji.blog52.fc2.com

マンソン裂頭条虫の生活環

芽殖孤虫も似たような生活環を持っている可能性があります。

出典: http://cyclot.sakura.ne.jp

ケンミジンコの1種

出典: http://george-net.hatenablog.com

芽殖孤虫病が日本に多い原因は?

芽殖孤虫病は日本で最初に発見され、2006年までに17件が確認されています。
国別に見ると、日本で8件、台湾で3件、アメリカで2件、パラグアイ・ベネズエラ・カナダ・フランス領レユニオン島(インド洋上の島です)で各1件となっています。

出典: http://lsajapan.exblog.jp

レユニオン島

芽殖孤虫病が日本に多い原因は、残念ながら不明です。
もしカエルが芽殖孤虫の宿主であれば、カエルが多いことが原因ということになるかもしれません。
今後、研究によって芽殖孤虫の生態が解明されれば明らかになると思われます。
日本では最初に発見されたために研究が進んでいて発見されるものが、他の国では見過ごされてしまっている、ということももしかするとあるのかもしれません。

出典: http://sake-life.cocolog-nifty.com

芽殖孤虫の生物学上の分類(寄生虫等の画像多数あり)

芽殖孤虫という名前や、幼虫・成虫という言葉から昆虫の一種のように考えてしまいますが、芽殖孤虫は昆虫ではなく、扁形動物の1種です。
扁形動物には再生能力の高さで有名なプラナリアやコウガイビル、寄生虫のサナダムシやエキノコックスなどが含まれます。

出典: http://www2u.biglobe.ne.jp

プラナリア

扁形動物の1種、プラナリア。体を2つに切られても、それぞれが別な固体として再生します。

出典: http://www5b.biglobe.ne.jp

コウガイビル

扁形動物の1種、コウガイビル。
プラナリアと同様に再生能力があります。
吸血を行うヒルとは全く異なる肉食生物で、ミミズやカタツムリを捕食します。

出典: http://4662.buzz-sparks.org

サナダムシ

扁形動物で、人間に寄生する寄生虫であるサナダムシ。
10m以上まで成長することもあるようです。

出典: http://www.iph.pref.hokkaido.jp

エキノコックス

扁形動物で、キツネなどに寄生するエキノコックス。
人間が寄生されると死の危険があります。

芽殖孤虫はサナダムシに近い種類?

芽殖孤虫はサナダムシと同じ、裂頭条虫科に属しています。
また、犬や猫に寄生し、人間に寄生すると孤虫症を引き起こすマンソン裂頭条虫と特に遺伝子が似ているということです。
芽殖孤虫はマンソン裂頭条虫がウィルスに感染して変異したものではないかという説もあったのですが、研究によって遺伝子が似てはいても異なるものであったため否定されています。

出典: http://www.odagawa.net

マンソン裂頭条虫の成虫

遺伝子がよく似ている、マンソン裂頭条虫の成虫です。
芽殖孤虫も本来の終宿主に寄生すればこのような姿になるのかもしれません。

出典: http://report.confaeru.com

マンソン裂頭条虫が脳に寄生した様子のレントゲン写真

また、条虫の仲間には、人間の脳に穴を開けてしまう寄生虫の、有鉤条虫も含まれます。

出典: http://www.gizmodo.jp

有鉤条虫に寄生された人間の脳

出典: http://www.hananoiyakkyoku.com

有鉤条虫(と、無鉤条虫)

芽殖孤虫の研究

感染経路が不明で、症例も非常に少なかったことから研究が進んでいなかった芽殖孤虫ですが、1件の感染が確認されているベネズエラで、感染者から取り出した芽殖孤虫をマウスの腹腔に寄生させるというちょっと恐ろしい方法で培養され、研究が進められているということです。

出典: https://ja.wikipedia.org

エキノコックスに感染したネズミ

芽殖孤虫もこのような形で培養されているのでしょうか。

研究によって分裂のメカニズムなどが解明されれば、寄生されても薬で分裂を抑えるようなことができるようになるかもしれません。
しかし、自然界で芽殖孤虫がどのような生物に寄生し、どういった一生を送っているのかなどは研究が進んでおらず、生態に関しては未だに謎に包まれています。

芽殖孤虫症からの生存例?(画像・動画あり)

2014年、中国で11歳の男の子がカエルの肉と思われるものを食べたことで寄生虫に感染し、脳から寄生虫を取り出す手術を受けた、というニュースがありました。

医師はこの寄生虫を「芽殖孤虫(がしょくこちゅう)」と特定。この寄生虫が人間に発生するのは、感染しているカエル、ヘビ、または小型哺乳類を調理せずに食べた場合や、まれに豚肉の生食からも起きると言う。  この「芽殖孤虫」は消化管から体内に入り、体内を移動。目で感染を引き起こす場合もあるが、多くは脳まで到達する。そして脳を破壊、それによって死に至る事もあると言う。この寄生虫は通常、犬や猫に感染するものだが、人間にもまれに感染する。

引用したニュースでは芽殖孤虫として報じられていますが、
・感染経路や宿主が特定されている(芽殖孤虫はどちらも不明)
・死に至ることもある=助かることもある(芽殖孤虫は致死率100%)
という点から、これはマンソン裂頭条虫で、誤訳ではないかと考えられます。

中国では他にも、マンソン裂頭条虫と思われる寄生虫に感染した患者が、手術で寄生虫を摘出された例があります。

出典: http://www.narinari.com

ドイツ人男性の芽殖孤虫摘出の例(画像あり)

また、2012年ごろに、南米を旅行したドイツ人の男性が寄生虫に感染し、摘出手術を受けたところ、摘出された寄生虫の遺伝子が芽殖孤虫のものとほとんど同じだったという事例が2014年に報告されたということです。
しかし、この寄生虫は分裂を行わず、男性は芽殖孤虫症を再発させることなく生存しているようです。
もしかするとこれが芽殖孤虫症からの初の生存例になるのかもしれません。

出典: https://www.researchgate.net

中央の画像が取り出された寄生虫です。

まとめ

いかがだったでしょうか。
感染例が少なく、よくわからない点が非常に多いとはいえ、芽殖孤虫病になってしまった場合の症状の壮絶さと致死率の高さは非常に恐ろしいものがあります。
芽殖孤虫病の予防法は確立されていませんが、
・十分に加熱されていないヘビやカエル、元の姿がわからない肉を食べない
・生水を飲まない
といった点に気をつければ感染を防げる可能性が高いのではないでしょうか。
(もっとも、他の寄生虫や病原菌を避ける意味でも当然やるべきことではありますが。)
この2点は、特に海外旅行の際に気をつけなければならないことでもあります。

出典: http://khonruai.blog97.fc2.com

カンボジアのカエル料理

出典: http://blog.livedoor.jp

鍋の具用のヘビの肉

また、感染の件数自体が非常に少ないです。
日本での感染例は直近で1987年で、日本での8件のうち、5件が明治・大正時代に発見されたものです。
インターネット上で「1990年に発見された」、「芽殖孤虫であることが分かるといったケースが相次いでいる 」といった書き込みも見かけますが、
これについては元の書き込みと、そのコピペ以外の情報がなく、「怪談」として創作された部分ではないかと考えられます。
精神的によくありませんので、普段十分に清潔にしていれば気にしすぎないほうがいいのではないでしょうか。

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