北朝鮮を隠し撮りで迫った映画『太陽の下で』の真実が公開される

北朝鮮に住む一般家庭を追ったドキュメンタリー映画「太陽の下で」。しかし北朝鮮の指示により彼らの本当の素顔が明かされることはなかった。演出される市民の真実を隠し撮りによって克明に記録した映画「太陽の下で」には幼い女の子「リ・ジンミ」が涙をこぼす姿が映されていた。

北朝鮮を隠し撮りで迫った映画『太陽の下で』の真実が公開されるのイメージ

目次

  1. 映画『太陽の下で-真実の北朝鮮-』
  2. とある家族を中心に撮影
  3. 『北朝鮮政府』の徹底した演出
  4. 北朝鮮の洗脳的教育
  5. 映画に主演した少女『リ・ジンミ』のその後
  6. 「太陽の下で」映画監督『ヴィタリー・マンスキー』
  7. ロシアでは公開不可に
  8. ニュースでも放送
  9. 韓国での反応
  10. まとめ

映画『太陽の下で-真実の北朝鮮-』

北朝鮮をテーマにした映画

出典: https://www.amazon.co.jp

北朝鮮の真実をを克明に映した映画

ロシアの映画監督「ヴィタリー・マンスキー」と北朝鮮の共同により制作されたドキュメンタリー映画「太陽の下で-真実の北朝鮮-」。
映画の撮影許可がおりるまで約2年。平壌に住む一般家庭への密着取材で約1年と長期間の歳月を要したドキュメンタリー。
その内容が北朝鮮の真実の一部を映し出したと好評を得ました。

ロシアでは一部での公開。韓国では2016年4月27日に公開。日本では2017年1月21日に公開されました。現在では各レンタルビデオ店でもリリースされています。

劇場国家とも呼ばれる「北朝鮮」をドキュメンタリー形式で撮影し動画として残した貴重なフィルム。

映画「太陽の下で」予告動画

「太陽の下で-真実の北朝鮮-」予告動画。

とある家族を中心に撮影

映画の内容は北朝鮮平壌の一般家庭に密着取材

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

予告動画でも分かる通りドキュメンタリーのスポットに当てられたのは平壌に住む一般家庭。
画像に写っている女の子は若干8歳の若さ「太陽の下で」の主演女優となった「リ・ジンミ」。
映画は当初の予定では、模範的な労働者の家庭に生まれた平壌に暮らしている少女「ジンミ」が「太陽節(金日成の誕生記念日のこと)」で披露される舞踏の練習風景や北朝鮮でのごく普通の家族を描く予定でした。

『北朝鮮政府』の徹底した演出

映画では北朝鮮政府の意図する家族を演じる

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

逐一演技を指示される家族

「北朝鮮」といえば「劇場国家」。
芝居掛かった演出から見えるのはヤラセという疑惑。
「金正日」が亡くなった際は国民が街中で嗚咽をあげて泣きわめく姿が報道されたりして知っている方も多いと思います。
今回の映画での撮影でも実際には北朝鮮政府側からの監督が家族に指示を出します。
その指示は「ジンミ」の家族だけに留まらず、カメラに映る人物全てが対象。「どこに立つか」「どのように立つか」「何を見るべきか」などあらゆる要素が指示されています。

北朝鮮政府からあらかじめ選出された5人

出典: http://naojunmam.blog.fc2.com

主演女優「リ・ジンミ」は5人の候補のうちオーディションによって「ヴィタリー・マンスキー監督」によって選ばれました。
「少女たちは忙しい」という理由でオーディションは10分間程度の時間しか与えらず、監督は一人に3つ程度の質問をして選考基準を得ました。
それは両親の職業。「リ・ジンミ」の父はジャーナリスト、母は工場の食堂勤務だということで、ジャーナリストならともに出かけた際面白いものが取れるのではないか?と考えた結果でした。

ただのドキュメンタリー映画ではない要素

出典: http://cinemarine.co.jp

しかし、いざ撮影が開始されると「リ・ジンミ」の家族には役割が与えられました。
いつのまにか彼女の父はジャーナリストから繊維工場の技師、母は乳製品工場勤務という設定に。
家族の住む高級マンションにある家具はどれも新品。棚の中身には何も入っておらず、さらに浴室は使った形跡がない。「ヴィタリー・マンスキー監督」はこの高級マンション自体が撮影期間のみ家族に貸し与えられたものだと勘付いたそうです。

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

画像は「金正恩」政権下になり新たに建てられた子ども病院。
「リ・ジンミ」の友達が唐突に捻挫しその後入院しました。そのお見舞いの様子です。
この施設を動画に納めたいがために演出として入院させられたと言われています。

北朝鮮の洗脳的教育

「太陽の下で」に撮られた異質な教育

出典: http://asian-reporters.com

「北朝鮮」でもっとも恐ろしいのは洗脳教育。
「太陽の下で-真実の北朝鮮-」では「リ・ジンミ」の通う学校での授業風景も撮影していました。
そこではただひたすらに、アメリカ、日本、南朝鮮を恨むように教育され、北朝鮮労働党である金一族を崇めるように言われ続けます。

出典: http://asian-reporters.com

幼い頃からこのような情緒を煽り一方的な教育をすることで今の「北朝鮮」は保たれています。
学校の廊下に「社会主義制度万歳」といううようなポスターが貼られている様は狂気を感じます。

北朝鮮政府から憎悪することを扇動されている

出典: http://asian-reporters.com

日本人と地主がどんな連中だったかと問われると、先ほど先生から教えられたように「日本人は私たち人民を痛めつけた我が国を占領した悪者です」と答える。

出典: http://asian-reporters.com

「敬愛する金日成大元帥様は」
「仲間に」
「日本人と地主は悪いやつだと」
「気づかせてくれた」
とまとめに入り、最後には教師が「気づいたらどうしなければいけませんか」と生徒たちに問うと、
「懲らしめないといけません!」と声だかに叫びます。

歴史的な真実はこの際置いておくとしても、学校の初等科教育でするようなことではありませんね。

映画に主演した少女『リ・ジンミ』のその後

「太陽の下で」撮影後の少女は

出典: http://cinemarine.co.jp

その後

北朝鮮にすむ一般市民は見てないであろうドキュメンタリー映画「太陽の下で-真実の北朝鮮-」。
しかし上層部の人間は見ているはずです。
「ヴィタリー・マンスキー監督」は多くの人から受ける「リ・ジンミ」が「太陽の下で-真実の北朝鮮-」に出演したことにより彼女に害があったのではないか?」という問いに対しては、
北朝鮮政府は世界での映画公開を逆手に取り「リ・ジンミ」という少女を、更に時代の裕福さを象徴する者として扱うことにしたと言いました。
しかしそれは彼女にとっての”本当の”幸せであるかどうかはわかりません。

「太陽の下で」撮影スタッフのその後を心配する声

出典: http://www.irasutoya.com

少女「リ・ジンミ」が無事なことはわかったが、北朝鮮での案内役の人間や現地の撮影スタッフたちのその後はどうなったのか、わかっていません。
もしかしたらその後に恥さらしとして処刑されている、なんてこともあるわけです。

「太陽の下で」映画監督『ヴィタリー・マンスキー』

映画「太陽の下で」で何を撮りたかったのか

出典: http://www.webdice.jp

多くのメディアのインタビューに答えたマンスキー監督

「太陽の下で-真実の北朝鮮-」を撮影した「ヴィタリー・マンスキー監督」。
隅から隅まで徹底して規制する北朝鮮のやり方を見て、一般市民の真実を暴きたかったという。
”なぜ「全体主義社会」が存在するのか?”ということに興味があったとインタビューで語っています。
ドキュメンタリーでは回想やアーカイブを多用するのでそういった体制が未だに存在し続けている国はと考えて北朝鮮に目を向けたそうです。

撮影後、北朝鮮の外務省から「この映画は北朝鮮を挑発している故に公開を禁止としフィルム破棄及び制作者への刑罰適用を求める」と声明。しかしこの時完成した映画はまだ見られていなかったそうです。

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

幸い「ヴィタリー・マンスキー監督」はロシア在住であったため北朝鮮から制裁されることはありませんでしたが、彼の住んでいた場所を突き止め、彼に直接連絡してくるようになりました。
「スパイ。日米の手先」
「人類のクソ」
と厳しい手紙の後に今度は打って変わり「あなたのことが懐かしい。平壌で私たちと会ってこの先のプランを話すことは重要」という手紙が届いたといいます。

出典: http://www.irasutoya.com

「ヴィタリー・マンスキー監督」は「太陽の下で-真実の北朝鮮-」以外には「管」「純潔」「タトゥー解剖」などのドキュメンタリー映画を撮っています。
そしてロシア映画界では最優秀ドキュメンタリー賞「LAVROVAYA VETV」の設立者でも知られています。

「太陽の下で」を撮り終えたあと

出典: http://www.irasutoya.com

「太陽の下で」を撮り終えたあと「ヴィタリー・マンスキー監督」は映画を撮影する前と後で、根本的な問題は市民たちの貧困や快適さ等々ではなく、人間としての自由を生きる権利の有無だと知った、とインタビューで語りました。
北朝鮮には自由を持った人間はいない。それは指導者「金日成」「金正日」「金正恩」たちも同じ、彼らも全体主義国家人実で捕虜だとコメントしています。
キューバやソ連など多くの国でドキュメンタリーを取ってきた監督ならではの考えです。

ロシアでは公開不可に

出典: http://www.irasutoya.com

ロシア政府の対応に疑問が浮かぶ

決死の覚悟で撮影された「太陽の下で-真実の北朝鮮-」ですが「ヴィタリー・マンスキー監督」の住む国ロシアでも公開ができませんでした。
映画の公開日2週間前には各地の映画館では予告のポスターが張り出されたにもかかわらずに。
公開までわずか3日前、北朝鮮からロシア政府へ非難する声明とともに映画館での上映を禁止する要求。それを受けて公開が中止されることに。

ロシアという国に関してはよく北朝鮮との繋がりが噂されています。何かしらの忖度があったのでしょうか。

ニュースでも放送

「太陽の下で-真実の北朝鮮-」が「情報7days ニュースキャスター」にて特集されました。
動画では予告動画にないところも見られます。

「ヴィタリー・マンスキー監督」はその後のインタビューで、
「私が撮りたかったものは1つも撮れなかった」
「なぜなら撮影したすべての場面は100% 北朝鮮当局の監視下で撮影したものだからだ」と語っています。

一度だけ北朝鮮からの監視がない状況でカメラを回す機会を得た撮影スタッフ。
「リ・ジンミ」に「少年団に入団したけど自分の一生に何を期待する?」とインタビュー。
「少年団員になったら組織活動をします。組織活動を通して過ちにも気づき尊敬する大元帥様のために何をすべきか、ということもわかります」と答えたあと涙を流し始める「リ・ジンミ」。
撮影スタッフが慰めようと「かわりに何か好きなことを考えて」と言うと「よくわからない」と答える。
北朝鮮スタッフ監視下では得られなかったであろうインタビュー。
彼女は一体どんな思いをして北朝鮮に住んでいるのでしょうか。

韓国での反応

出典: http://www.akb48matomemory.com

韓国では当時の大統領「朴槿恵」が2016年5月5日に北朝鮮からの脱北者50人を招きソウル市内にある映画館で「太陽の下で-真実の北朝鮮-」を鑑賞されました。

上映を終え「朴槿恵」インタビューで「こどもの日を迎えて、夢を失った中、困難を生きていく北朝鮮の子供たち。私たちが守らねばならないと痛感しました」とコメント。
さらに「北朝鮮が核開発を放棄して住民たちとその子どもの生活に関心が向けられるような契機へと繋がればいい」とインタビューでは政治的な問題にも言及。

まとめ

拉致問題や核開発など世界中から孤立し、映画のその後も大きな垣根を作り続ける独裁国家北朝鮮。
メディアの写真や動画から発信される情報はそのほとんどが政府により演出されたもので、見栄だということが「太陽の下で-真実の北朝鮮-」のドキュメンタリーによって市民の実情としても知ることができます。

予告動画ではドキュメンタリーであるにも関わらずスタッフの「アクション」の掛け声から「リ・ジンミ」のセリフが始まります。その異様さたるや。

北朝鮮の見せたかった市民の理想の生活として、さらに劇場国家としての一面を知ることのできる貴重な映画です。

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